前回に続き、㈱リンクス ホリさまの設計になるこの茶室完成までの特徴的な工事についてご紹介します。
屋根工事
この茶室の屋根は、銅板葺きです。野地板に防水シートを張り、その上から銅板を葺いていきます。

屋根の軒先から葺き上げる

庇の軒先部分。

突き上げ窓部分は雨仕舞のため複雑な納まりに。

棟の瓦と銅板の納まり。

葺き上がった銅板の屋根。
屋根に銅板を葺く工事は、1月下旬から2月下旬まで、約1か月間かかりました。
左官工事
外壁は、ラス網にモルタルを塗り、その上に、藁の入ったリシンを鏝で仕上げる左官壁です。

ラス網を張った外壁。窓の隅などひび割れが生じやすい部分には、補強の網を入れています。

ラス網にモルタルを塗っていく。
外構の石工事
足元には差し石を並べて、茶室の味を演出します。また、腰掛待合にも石を施します。
柱を受ける根石(基礎石)は木曽石、壁留め下の差し石は伊勢ごろた石、腰掛待合の正客用の石は鞍馬石、延段は御影と伊勢ごろたで作りました。

柱を建てる基礎石と、足固めの下に差し込む差し石。

腰掛待合の足元に施された石々。
和紙張り
内壁には、和紙を腰張りします。ここでは紺の湊紙を使用しています。

和紙を寸法に合わせて切り、糊を付ける。

丁寧に張り合わせていく。

和紙を腰張した室内。
下地窓と突き上げ窓
茶室では、竹小舞を塗り残した形の下地窓がよく用いられます。また、掛け込み天井には突き上げ窓を設けることがよくあります。

外壁側からみた下地窓の竹小舞。

下地窓と躙り口から入る光。施工中だが陰翳礼讃の雰囲気を味わえる。

ほぼ完成した室内。下地窓には障子が入っている。網代の平天井と板張りの掛け込み天井の取り合いも見ることができる。

掛け込み天井に設けた突上窓。
茶室で用いられる釘など
茶室には、軸を掛ける軸釘、花を掛ける花釘など、さまざまな釘が用いられます。ここで使用した釘などをご紹介します。

この茶室で用いられたさまざまな釘など。

釣り釜をを掛けるために天井に打つ釜蛭釘。
水屋
竹で釣った二重棚、通し棚、竹簀子、などで構成される水屋です。

水屋の造作。
以上、R様茶室の概要をご紹介しました。

ほぼ完成した外観。