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R様茶室工事(2)

2012年5月22日 火曜日

前回に続き、㈱リンクス ホリさまの設計になるこの茶室完成までの特徴的な工事についてご紹介します。
屋根工事

この茶室の屋根は、銅板葺きです。野地板に防水シートを張り、その上から銅板を葺いていきます。

屋根の軒先から葺き上げる

屋根の軒先から葺き上げる

庇の軒先部分。

庇の軒先部分。

突き上げ窓部分は雨仕舞のため複雑な納まりに。

突き上げ窓部分は雨仕舞のため複雑な納まりに。

棟の瓦と銅板の納まり。

棟の瓦と銅板の納まり。

葺き上がった銅板の屋根。

葺き上がった銅板の屋根。

屋根に銅板を葺く工事は、1月下旬から2月下旬まで、約1か月間かかりました。

左官工事

外壁は、ラス網にモルタルを塗り、その上に、藁の入ったリシンを鏝で仕上げる左官壁です。

ラス網を張った外壁。窓の隅などひび割れが生じやすい部分には、補強の網を入れています。

ラス網を張った外壁。窓の隅などひび割れが生じやすい部分には、補強の網を入れています。

ラス網にモルタルを塗っていく。

ラス網にモルタルを塗っていく。

外構の石工事

足元には差し石を並べて、茶室の味を演出します。また、腰掛待合にも石を施します。

柱を受ける根石(基礎石)は木曽石、壁留め下の差し石は伊勢ごろた石、腰掛待合の正客用の石は鞍馬石、延段は御影と伊勢ごろたで作りました。

柱を建てる基礎石と、足固めの下に差し込む差し石。

柱を建てる基礎石と、足固めの下に差し込む差し石。

腰掛待合の足元に施された石々。

腰掛待合の足元に施された石々。

和紙張り

内壁には、和紙を腰張りします。ここでは紺の湊紙を使用しています。

和紙を寸法に合わせて切り、糊を付ける。

和紙を寸法に合わせて切り、糊を付ける。

丁寧に張り合わせていく。

丁寧に張り合わせていく。

和紙を腰張した室内。

和紙を腰張した室内。

下地窓と突き上げ窓

茶室では、竹小舞を塗り残した形の下地窓がよく用いられます。また、掛け込み天井には突き上げ窓を設けることがよくあります。

外壁側からみた下地窓の竹小舞。

外壁側からみた下地窓の竹小舞。

下地窓と躙り口から入る光。施工中だが陰翳礼讃の雰囲気を味わえる。

下地窓と躙り口から入る光。施工中だが陰翳礼讃の雰囲気を味わえる。

ほぼ完成した室内。下地窓には障子が入っている。網代の平天井と板張りの指し掛け天井の

ほぼ完成した室内。下地窓には障子が入っている。網代の平天井と板張りの掛け込み天井の取り合いも見ることができる。

指し掛け天井に設けた突上窓。

掛け込み天井に設けた突上窓。

茶室で用いられる釘など

茶室には、軸を掛ける軸釘、花を掛ける花釘など、さまざまな釘が用いられます。ここで使用した釘などをご紹介します。

この茶室で用いられたさまざまな釘など。

この茶室で用いられたさまざまな釘など。

花活けを掛けるために天井に打つ花蛭釘。

釣り釜をを掛けるために天井に打つ釜蛭釘。

水屋

竹で釣った二重棚、通し棚、竹簀子、などで構成される水屋です。

水屋の造作。

水屋の造作。

以上、R様茶室の概要をご紹介しました。

ほぼ完成した外観。

ほぼ完成した外観。

R様茶室工事

2012年2月13日 月曜日

茨城県で新築中の茶室です.

株式会社リンクス ホリさま設計の、4畳半の茶室と水屋を持つ利休型の独立した草庵茶室です.

現在,木工事が佳境に入っています.

これまでの工事を写真でご紹介します.

2011年11月作業所にて墨付刻み工事

RIMG0058 根石と柱のヒカリ付け
現場に持ち込む前に作業所で根石(基礎石)の形に合わせて柱の下面を加工します.
石は木曾石,柱は北山杉の面皮柱です.
丸桁と柱のヒカリ付け

丸桁と柱のヒカリ付け

杉磨き丸太の桁にほぞ差の柱の取付部分を磨き丸太の曲面に合わせて加工します.

磨き丸太は北山杉です.角柱は天竜杉です.

2011年12月基礎工事

べた基礎の配筋

べた基礎の配筋

茶室で耐震性を確保するために基礎はべた基礎仕様とします.

べた基礎が完成し土台敷きが始まります.

べた基礎が完成し土台敷きが始まります.

基礎の立ち上がりは根石を配置するスペースを作るために内側へ寄せています.

2012年12月 上棟

軸組建て方完了

軸組建て方完了

桁,母屋は北山杉の磨き丸太で柱の足元は木曾石の根石です.

軸組全景

軸組全景

軸組が完成しました.次は屋根工事です.

全面右には躙り口を作ります.

2012年1月屋根木工事

木舞ケラバ

木舞ケラバ

茶室独特の屋根の形です.母屋と垂木をケラバの端までに設けずに,切り落とした形のデザインです.

はね出しは木舞で支えます.

垂木は杉の磨き丸太で,木小舞,化粧軒裏は杉板です.

掛込天井

掛込天井

杉磨き丸太,女竹と黒部枌板の掛込み天井です.

壁には断熱材を入れています.

次回は銅屋根工事,左官工事をご紹介します.




住まいに生きる伝統の心

2010年5月27日 木曜日

日本の伝統的な住まいづくりを生業とする工務店として,今,何をなすべきかを考えます.
 私たちの大工仕事には,二千年の伝統木造建築の歴史があり,技能,精神の隅々に先達の情念で研ぎ澄まされています.日本人の英智であり,真髄と同じです.日々仕事に携わることにより,春夏秋冬を愛し,侘び,寂びを旨とする日本人の知性と感性の素晴らしさを強く感じます.そして,その精神を今の日本で更により良く深化されることが,日本と世界に貢献できる日本人を創造することと思うのです.
 明治期,岡倉天心,鈴木大拙など多くが海外に渡り日本を紹介しました.彼らの海外での記念写真を見るに,隣席する大男に負けない精神力にあふれた面構えは,現代人には無い精神的強さを感じました.
 現在,私たちの日常の生活は西洋式であふれています.おかげで,洋画や海外のニュースを見ても,何ら,めずらしさや違和感を覚えず,物語や出来事を直感的に理解出来,楽しめます.全世界的にバリアフリーの情報網がアメリカ,ヨーロッパの生活様式を私たちの日常に根づかせてしまいました.
 住まいのデザインも同様で,新築住宅は洋風の外観が多く,和風の建て売り住宅などは,最近,ほとんど見かけません.和室すら居間の隅に追いやられて三畳や四畳半の畳敷きコーナーとなってしまいました.近々室内を靴のまま歩きまわる時代も始まるのではないかとさえ,心配になります.正座,座礼ができなくなります.
 現代社会がイギリスに発する産業革命の恩恵の上に成り立っているため,西洋式の吸収は不可欠,必然と理解出来ますが,様式だけの鵜呑みはゆくゆく消化不良を起こすだろうと考えます.
 私たち工務店を取り巻く状況も,法律の厳格化,アメリカ流の契約社会,交渉社会の浸透など,住まいづくりにビジネスの色付けがますます強くなってきています.ご近所のよしみによる住まいづくりが少なくなってきました.ならば,この時こそ,日本流の心を込めた仕事に専心し,伝統の心を伝えることが,私たち工務店の第一の役目と考えました.